【購入VS賃貸】P/L的発想で月次の正味持ち出しモデルで比較してみた
「マンションは購入が得なのか賃貸のほうが得なのか」
議論は尽きません。
色々な見方があると思いますが、自分がマンションの購入検討をした際の考え方について触れておきたいと思います。
ちなみに、定性的かつ個々の事情による要件(転勤になった場合は賃貸のほうが身軽、購入だとリフォームが自由、等々)は一切加味せず、純粋にコストで比較しています。
こういう考え方もあるよね、という、ひとつの考え方として参考になる方がいらっしゃれば嬉しいです。
比較対象は毎月の垂れ流しコスト(経費)
基本的には、一時的にかかるコストは無視して、継続的にかかる毎月の支払相当分の額で比較するというのが、自分なりの考え方の基礎となっています。
なお、一般的に、購入vs賃貸の議論で筆頭に挙げられるのは、
「購入した場合は資産として残る、賃貸の場合は残らない」ですが、
自分の考えも一応これに基づいています。
ここまでは通常の見方なのですが、
比較計算する上で、この資産額は一旦考慮から外しました。
具体的には、
毎月支払う金額のうち、住宅ローンの「元本分」は考慮しない。
ということです。
元本分の支払いは自身の資産(価値として残るもの)に相当するものですから、この元本分の支払いを含めた毎月の総支払額と、賃貸マンションで支払う家賃(賃貸の場合は全てが垂れ流しコスト)を比較すると、見誤ってしまうからです。
※キャッシュフロー(月次・年次の資金繰り)を比較する意味であれば元本も含めて比較すればよいのですが、得かどうかとは関係ないためです。
とはいえ、資産は一般的に目減りするものです。
自分の計算方法では、この目減り分をコストと考えた上で、一番最後に考慮することにしました。
P/L(損益計算)で比べる意味
簿記についての理解がある方なら、スッと腹落ちするかもしれませんが、前述の説明を補足すると、賃貸マンションの場合、毎月の家賃支払い額はそのまま同額がキャッシュアウト額ですし、毎月の経費額でもあります(キャッシュアウト=経費)。
しかし購入の場合は、住宅ローンの元本分はキャッシュアウトですが、元本は資産に相当するもですから、その額を経費として計上することは出来ません。(キャッシュアウト≠経費)
自分は「経費」という考え方をもって比較しました。
ちなみに、ここでは「正味持ち出しモデル」と命名しています。
※基本的な考え方は損益計算書と同じなので「P/Lモデル」でも良かったのですが。。
【図説】正味持ち出しモデルの基本形
購入と賃貸の正味持ち出し額を図に表すと以下のようになります
※前述のとおり、マンション購入時の初期費用は考慮していません。
中古の場合で、購入価格の約10%程度がかかりますので、考慮したい場合は適当に配賦すればよいと思います。
↓参考までに
以下それぞれの項目の説明です。
- 住宅ローン金利
金利は銀行に毎月支払うローン支払い額のうち、元本(資産)でなく垂れ流していくコスト(経費:支払利息)です
- 管理費
マンション組合に払う管理費も垂れ流しコスト(経費:地代家賃)です
将来のマンション修繕に向けたもので、本来的には預け金です。しかし、マンションの修繕積立金は、将来マンションを売却した場合でも返ってきません。よって垂れ流しコスト(経費:実質的に地代家賃)です
- 固定資産税
税金も垂れ流しコスト(経費:租税公課)です
固定資産税の支払いは毎年1回ですが、継続的にかかるコストなのでここでは月額相当分として考慮しています
一方、賃貸はシンプルです。家賃と共益費が毎月の垂れ流しコスト(経費:地代家賃)ですね。
この両者を比べてどうか、というのが基本的な考え方となります。
比較するうえで考慮していないもの
極力シンプルにするために、購入・賃貸、それぞれ以下を考慮していません。
購入の場合
- 管理費/修繕積立金の変動額
管理費はともかく、修繕積立金は数年おきに徐々に高くなるケースが多いかと思います。
-
大規模修繕一時金
基本的には10年に1度大規模修繕があり、一時金の徴収が発生する場合ああります。
(自分のマンションは、月次の修繕積立金で賄う予定であり、今のところ一時金の徴収計画はありません)
-
金利の変動
フラット35等でローンを組む場合、変動はありませんが、将来的に変動の可能性があるプランでローンを組んだ場合は本来は考慮が必要です。
-
ローン終了後に住宅ローン金利がゼロになること
相当先なので考慮していません。また、影響額は金利差分のみ。軽微と判断しています
賃貸の場合
-
2年ごとの更新料
一般的に2年ごとに家賃の1か月分が掛かります。
-
引っ越しした場合のコスト(礼金や引っ越し代)
数十年も同じところに住む人は稀だと思いますので、定期的に発生する可能性があります。
よって、上記に列挙したコストに関しては、個々の事情に合わせて考慮してもらえればと思います。
【概算金額入り】自身の月次正味持ち出しモデル
自分自身のモデルです。解りやすくするために端数は丸めていますが、概ねこの図説どおりです。
単純に毎月の正味持ち出しコストで比較すると、自分の場合は購入のほうが毎月8.5万円程が安くなることがわかります。
正味持ち出しコストの差異=譲歩できる資産目減り額と考える
ここで、購入した場合の資産の目減り額に話を戻します。
基本的に資産価値は経年により目減りすると考えるのが妥当です。
この資産の減耗分をコストと見立てます。
例えば、1,000万円で購入したマンションが売却時に800万円になったのであれば、200万円の資産の消失=垂れ流しコスト、という考え方です。
自分のケースに当てはめると、毎月資産価値が8.5万円(年間約100万円)下がった場合、ちょうど賃貸とイーブンになります。
10年後に1,000万円価値が下がっていても賃貸とイーブンという見方となります。
なお、資産の消失分を別の言葉で言い換えると、その分を消費したという意味で、減価償却費という考え方も出来ますね。
まとめ
購入と賃貸との比較では、変動要素や個々の事情なども考えると、明確に比較することは難しいです。
そこで、自分は極力シンプルに毎月支払うコストとう意味で、正味持ち出しモデルで考えました。
正味持ち出しコストでいったん比較してみて差異を算出し、そのあとに個々の事情(一時金の組み入れ)を考慮して、比較してみると自分にとって、どちらが得か、鮮明になると思います。
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